遠藤吉生 昭和51年(1976)学建

ひとくち講話 「最近の私の仕事」

私が建築の仕事に携わってから24年になりますが、9年前から広島工業大学 環境学部 環境デザイン学科 准教授をやり始め、現在では准教授の仕事がメインになっていますが建築家もやっています。

まず最初に私の建築に関する考え方をお話しします。

私の建築を支えてくれるものはアートとサイエンスでありそれがインスピレーションを与えてくれます。

私が特に影響を受けたのは二人のアメリカの建築家の考え方です。

一人はチャールズ・イームス゛で椅子のデザインが有名です。その彼がフイルム作家としてパワーズ・オブ・テンとゆう映像を1977年に作っています。それは公園にいる一人の男性から広い世界になりさらに地球になり月になり宇宙になっていき今度はその逆の世界になり、小さくなり元の公園の男性から皮膚の中に入り細胞からどんどんミクロの世界に入っていく科学フイルムです。

もう一人はバックミンスター・フラー(建築家)ですが宇宙船地球号を1963年に出版しています。この本は地球に対する考え方で、宇宙船地球号にはまだエンジンが出来ていない。そのエンジンは太陽のエネルギーを使ってすべてのエネルギーにするべきであって化石燃料等は使うべきではないそれは地球の財産だからとの考えです。

この二人の素晴らしい考え方に影響を受けました。

それでは私の建築作品を見ていただきます。

最初のころの住宅です。ガラスと鉄骨を多用した開口の広い明るく開放的な建物を作っていました。デザインは良いが冬の寒さの厳しい住宅でオーナーの我慢の住宅でした(笑い)。 私自身も事務所として使う機会がありその厳しさは実感しました。

その後は地球環境との調和を取り入れるデザインへと変わっていきました。そんな時日本建築学会からサスティナブルデザインの提唱があり木造建築の基準も変わり大型の木造建築もできるようになり、私の建築も木材を多用した地球にやさしい建築をするようになりました。

江田島にある誠心園グループホームでのサスティナブルデザインの建築は木構造で合理化木造で金物接合と木材断面の小型化、小屋組みの簡略化をし省資源の建築にしました。空気・熱のデザインとしては高断熱・低気密の徹底と自然エネルギーである地中熱と地下水を空調に利用し太陽熱を活用した省エネルギー建築にしました。

その後、幼稚園や住宅にもサスティナブルデザインを取り入れた環境との調和や再生可能な素材の活用をしています。

現在エネルギー0の建築を目指した住宅をやっています。徹底した断熱と蓄熱を考えた建築で解放部(窓)の少ない、今までと逆なデザインになっています。それと私の建築設計の特徴としてキッチンについてはフードまで含めパートナーの遠藤由美子(奥様)のデザインによるすべてオリジナルデザインです。その他、照明器具をはじめオールステンレスのテーブルやペーパーホルダー等小物のオリジナルデザインで個性あふれる作品になっています。

以上、地球と人に優しい遠藤デザインワールドを堪能させていただきました。

報告者 今井 諭

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