木本良介 平成20年(2000)洋画

校友会のみなさんの活動を紹介するコーナーです。
今回は平成12年(2000年)洋画卒業の木本良助さんからお話を伺います。

いきなりですが、絵を描き始めたきっかけなどをお話いただけますでしょうか。

母が日本版画会に所属していて、子ども達にも絵を好きになってもらいたいと言う理由から幼稚園児の兄を写生会などに連れ出していたんです。

笑い話しですけど、幼少の兄の絵は教育学部で専門教育を学んだ母からみると、あまりにも自由な作風(笑)で少し心配になったみたいです。そんなわけで、自分が学んだ知識をもとにして絵を教えようという気になったんじゃないかな。

僕は入園前で写生大会の参加資格はなかったのですが、兄の横に座って楽しく描いていました。

幼稚園に入ってからは写生大会やコンテストなどで大きな賞をもらえたりするようになって、それがおもしろくて高校生の頃まで、兄と一緒に描いて描いて描きまくって、沢山の賞を受賞しました。

正直言うと、そこまで夢中になって絵を描いていたのは、木本家には受賞する度にご褒美がもらえるシステムがありまして(笑)消防車を描いたり、宮島の風景を描いたり。小中学生の 間に何百枚も描いて出しました。

何と、最近はやりの継続的目標達成サイクルですね(笑)それじゃ、高校は美術部でバリバリ活躍されてたんですか?

高校は美術部には入らず、ひろしま美術研究所に通ってました。子どもの頃は母に教えてもらってましたが、油絵をきちんと勉強してみたかったのと、まわりが美大に進学するのが当然と言う感じの流れもあったので。

学生時代の作品

卒業後はそのまま武蔵美に?

いや、一浪です。最初の年は藝大と武蔵美を受験して両方とも不合格。翌年は武蔵美と広島市立学の芸術学部を受験して、武蔵美が先に決まったので第一志望の武蔵美に進学しました。

学生時代の作品

武蔵美を選んだ理由は?

武蔵美の伝統と言うか先輩方の作風に大いに共感する部分があって、勉強するなら武蔵美の学油だと思っていました。

木本青年が広島から上京したわけですが、学生生活はどうでしたか。何か思い出とか。体験とか。

東京の親戚と大学の中間と言う事で玉川上水駅近くにマンションを借りていました。このあたりは広島の雰囲気に近くて落ち着いて暮らせてました。

通学はバスですか。

自転車で通ってました。大学まで30分くらいの距離です。

画材を抱えて自転車で30分の距離は大変じゃなかったですか。

ほとんどは大学で描いていたので、大きな画材を持ち運ぶような事はあまりありませんでした。家では水彩を描いてました。

自宅マンションから見える風景
年賀状の版画

水彩は良く描かれるんですか。

そうですね。小学生のころからずっと描いていたので。高校生の時に広島駅から備中神代まで芸備線の沿線を描いて広島駅のステーションギャラリーで個展を開催した事もあるんですよ。それと母の影響で版画も。版画は毎年年賀状用につくっています。

サークルはマンガ研究会に所属していました。会報にイラストを載せたり、展示用のイラストを描いたりとか。

マンガは少年時代から大好きだったけど、ストーリーを構成するような才能は無いなと感じていたので、単純にサークル活動として楽しんでいた感じです。

学祭の思い出は何かありますか

広島風お好み焼きの看板を出している屋台で、お好み焼きの上に角切りの生のキャベツを2〜3枚乗せたものを売ってて、さすがにこれは違うだろうと衝撃を受けました。控えめな性格なので文句を言えませでしたが(笑)。

あとサークル伝統のたこ焼き屋台の練習で、タコは高いのでウインナーとかいろいろな具材を入れて練習&たこ焼き?パーティをするのですが、アポロチョコを入れた時の衝撃的な不味さは忘れられません。楽しい思い出です。

武蔵美で印象に残る講義などありますか

いまも武蔵美で教鞭を取られている遠藤彰子先生ですね。アトリエから絵を出せなかったので家の柱を切って搬出した凄いエビーソードの持ち主です。作品をはじめて拝見した時の印象がとても強くて、かなり影響を受けました。

遠藤先生とはいまでも交流はありますか。

二紀展の作家をされていて、そのつながりで自分も二紀展に出品しています。

最近描かれた作品についてお聞きしたいのですが。

二紀展に出品するために‌100号で2点描きました。「記憶の地層」と言うタイトルで、ひとつは「学び」もうひとつは「遊び」をテーマの連作です。記憶の地層に深い根が張っていて「遊び」、「学び」の思い出が積み重なって個につながる言うイメージです。二紀展には「遊び」が入選し展示されました。

それと、春期二紀展に「GAME地層」と言う、ゲームの歴史をテーマにした地層シリーズの新作を出品しました。基本的に飽きっぽい性格なのでテーマがどんどん変わるのですが、自分の街や子どもの頃の記憶の作品テーマが多いように思います。

最後に校友会広島支部の新支部長として一言お願いします。

支部の事務の流れなどを一応把握している担当が私だけしかいなのが選任の理由だと思います(笑)

事務局長や幹事のみなさんと協力して支部の発展に尽力できたらと思います。

校友会報の原稿資料の受け取りに、新支部長の木本さんのご自宅に伺いました。今年は支部総会もムサビ展も開催されないので、会報の内容をどうしましょうと雑談する中、木本さんのご自宅(アトリエ)訪問を記事にさせていただけないかと私からお願いしました。
総会などのイベントでしかお話する機会がなかった木本支部長のお人柄などを、アトリエ訪問と言うかたちでタイムリーに紹介できて良かったと思います。
今後も校友会のみなさんのお仕事や創作活動を紹介する場として、職場・アトリエ訪問を掲載できたら良いなと思っています。

岡崎隆一
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